2010年08月17日

モンスターたちの復習劇/映画「告白」

日本映画の、今年最高の話題作で、大ヒットして続映中です。
見終わった後は、正直「凄い映画だ!」とは思ったのですが・・・。

モンスターたちの復習劇/映画「告白」

「私の娘は事故死ではなく、クラスの二人の男子生徒に殺された。
少年法に守られている彼らに、私が裁きを下します。」

女教師森口悠子のショッキングな告白から始まります。
続いて犯人とされる少年AとBの告白。
Aと親しくなっていく同級生の少女の告白。
彼らの新担任、熱血男子教師の告白。
さらに、少年Bの母親の告白。
感情のみが肥大したモンスターたちの、未熟で勝手な言い分が絡まって展開されます。

原作を忠実に映画化したようですが、映画はかなり娯楽性が強い印象です。
社会的な問題を考えるというより、破天荒なストーリー展開で観客をぐいぐい引っ張っていく。

「目には目を。」
教育を受けた教師たちが、中学生と同等の教養と理性の持ち主とは・・・。
私なんか愚かしさに、途中で違和感を感じてしまったけれど、
女教師に感情移入できた人は、最後の復讐劇にスカッとするでしょうね。

でも、ショッキングなラスト以降が、社会性のある映画として必要なのでは?
当事者や同級生たちが、この事件から何に気付き何を学ぶのか、その続きが知りたいです。

情報の海に投げ込まれて、目の前の事実にしか信じる物がない現代人。
アイデンティティの不在が、常に不安と恐怖を生み出ししている。
そういうやりきれなさを描いた映画だから、やっぱりわずかでも展望が欲しいのです。


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Posted by kittsan at 09:01│Comments(4)映画の事
この記事へのコメント
私の「告白」

ちょっと前、娘の読書感想文宿題のゴーストライターやりました。
本は「告白」
中学生が書いたように、極めて単純な切り口(コミュニケーション不足と自己中心主義が云々という内容)にしてみましたが、
やっぱkittsanの感想はかっこいいなぁ。
感想文を書いたのは高校生以来でしたが、良い頭の体操(?)になりました。
ちなみに娘は、自分で宿題頼んでおきながら、私の感想文を下敷きにすること無く、自分の文章を書き上げて提出してました。
私の迷作は、紙ゴミとなりましたとさ。
ちっ!
Posted by フォレストビュー/いちかわフォレストビュー/いちかわ at 2010年08月17日 12:10
Thanks F/いちかわさん。

えっ? 
映画はR15(中学生は見られない)なのに、本は大丈夫なんですか?

お母さんの感想文も見てみたいのですが、子供さんの方に興味津々。
親と子のコミュニケーションがうまくとれているようで、何よりです。

映画は刺激が強すぎた分、
リアリティが薄れているように思えるのですが、
本の方はどうでしょう?
ちょこっとだけ、感想を聞かせて下さい。
Posted by kittsankittsan at 2010年08月18日 08:13
ああ、そうでしたね。
映画はR15指定なんでしたっけ?

原作は「本屋大賞受賞作」ということで、
全くR15指定のようなことはありませんでした。
ただ、この本のどこが本屋大賞なのかは理解に苦しむ面あり。
映画の番宣?スポンサーの圧力?
同時に藤沢周平を読んでいたので、余計に違和感あり。

娘の感想文は読んでいませんが、話を聞く限りにおいては、
「登場人物は皆ひとりぼっち。人間、孤独ではいけない。
中学時代は、集団生活での思いやりを学ばなくてはいけない」
みたいな内容らしいです。

私の読後の感想は薄い感じ。
同時に読み終わった藤沢周平の「蝉しぐれ」(こちらも映画化されましたね)に感銘を受けた分、
「告白」はイマイチでした。
Posted by フォレストビュー/いちかわフォレストビュー/いちかわ at 2010年08月19日 08:09
Thanks again F/いちかわさん。

ご感想ありがとうございました。
残念ながら本は読んでいないので、判断が付きませんが、
映画は相当強烈でしたね。
もっとも、今はこういう映画が普通なんでしょうけれど。

ところで、「告白」と「蝉しぐれ」を同時に読むなんて・・・。
本当は、「おかあさん」の顔をした、「おじさん」なんですね。
Posted by kittsankittsan at 2010年08月19日 19:28
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