2010年01月08日

とろみの湯・奈良田温泉「白根館」

静岡から山梨に抜ける52号線を走り続けること1時間半。
下部温泉口から、温泉方向と反対に別れてさらに40分。
早川沿いを北に向かって走り、そのどん詰まりにある「奈良田温泉」。

若い頃に、白根三山(北岳・間ノ岳・農鳥岳)を縦走した時の、最終点が奈良田だった。
その頃は、そこにこんなに素晴らしい温泉がある事は知らなかった。

とにかく山の合間で、見晴らしも良くはなく、ただダムがあるだけ。
が、特に観光地でもない所に沸く温泉は、知る人ぞ知る、他に比較がないほど絶品の湯の質。
昨年の冬行った時の温泉の味が忘れられず、今年も日帰り湯を楽しみました。

とろみの湯・奈良田温泉「白根館」

車から降りると、まずは硫黄の香りが鼻にツーンとくる「白根館」の入り口。
「日本秘湯を守る会」の提灯のある玄関をぬけ、番台のようなフロントで入浴料1000円を払う。
囲炉裏のある休憩所を抜け、外に出て風呂場に向かう。

ひのきの内風呂。岩作りの露天風呂、ともに正月だというのに、人が一人しかいない。
程よい熱さの湯に入って、すぐ分かるのが、お湯がもったりしていること。
体に粘り着くような湯で、ゼリーを薄くしたような風呂に入っているよう。
足や、腰にふれると、何か幕が出来ているようなとろみ感があり、不思議でしかたがない。

とろみの湯・奈良田温泉「白根館」

遠くに冬枯れの山肌を眺めての、ひなびた雰囲気の露天風呂は別世界だ。
次に入った隣の内風呂は、2槽に別れ、源泉からたっぷりお湯が溢れている。
外光が反射して、細かい湯ノ花が、透明な湯の中にただよっている。
この贅沢な湯が溢れる、ひのきの風呂を独り占めして1時間、すこしも飽きない。

体はサラサラになり、あちこちが湯の香りに満ちている。
硫黄の香りは夜まで残り、すべすべした皮膚感は翌日まで続いている。

とろみの湯・奈良田温泉「白根館」

温泉旅館を選ぶ基準は、さまざまです。
近くに観光地があるか、建物に見所があるか、料理がいいか、など。
しかし、この歳になると、湯の質がいいことに、一番心が惹かれます。

何もないこんな辺鄙な「奈良田温泉」は、お湯だけがごちそう。
それでも、何度も通いたくなる、極上の温泉地でした。


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Posted by kittsan at 09:03│Comments(2)旅の事
この記事へのコメント
素晴らしい温泉のようですね。
下部温泉は一度泊まりましたが・・・こちらの温泉が上のようです。

 更に、文章も一流ですよ。お見事!!
Posted by クマクマ at 2010年01月09日 12:56
Thanks クマさん。

「白根館」は結構有名なようで、
弊社工房展に見えたお客様も話に出ました。
お湯は絶品だけれど、旅館の態度がイマイチのようですね。
特に日帰り客はそれほど歓迎されないようです。

好印象がいずれ宿泊に繋がると思うのですが、
私もお愛想より、お湯派ですから、あまり気にしません。

クマさんはどうでしょうか。
Posted by kittsan at 2010年01月11日 15:26
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とろみの湯・奈良田温泉「白根館」
    コメント(2)