2010年11月02日

11月はじっくり文芸本を/辻邦生著「西行花伝」

いつの間にかすっかり秋も深まり、もう今年もあと2ヶ月。
9月の猛烈な残暑の中、展示会にハシゴをかけて、
駆け回っていたのも、遠い昔のよう。

11月の朝の冷えた空気に、ようやくゆとりを取り戻したこの頃。
そういえば今、まさに読書週間。
なにか急に、じっくり文芸本でも読みたいとの思いが募って、
Amazon.から取り寄せたのが、辻邦生著「西行花伝」。

11月はじっくり文芸本を/辻邦生著「西行花伝」

実はこの本、朝日新聞土曜朝刊「be」の「再読・こんな時こんな本」で見つけた。
その週の特集は、私が一番あこがれているテーマ、「隠居原論」だった。

隠居とは・・・?
いわば無用の人のことである。
経済利益の飽くなき追求と、競争原理を善とする物質文明の、域外へ踏み出している。
しかし、無用であるがゆえに変幻自在に生きられる。
・・・・・・・
「したくないことはしない」、これこそ「隠居」の真髄である。
義理や義務のしがらみを断ち切った超自己中心の境地へ。
もめごとなくそこへ没入するには、その生き方を「芸」の域まで磨くしかない。
「朝日新聞be・再読こんな本こんな時・より」


11月はじっくり文芸本を/辻邦生著「西行花伝」

う〜ん、いいですなぁ。あこがれですなぁ。
夢想でもいいからそんな生活を目指して、隠居原論おすすめ本から選んでみました。

辻邦生著「西行花伝」。
平安末期、鳥羽上皇の警護に仕えた北面の武士でありながら、
23歳のとき、この世の無常を感じて僧になった歌人、
西行の生涯をたどった歴史大作小説。

読者の約4割が50代以上、そうのうち6割が男性の読者。
出家して歌の世界で自己解放した西行の生きる姿に、
中高年男性がずっと引きつけられている。

私もそのひとり。
「文庫版を読み始めて、その文字の小ささに往生しながらも、
美しい文体と、和歌に魅了されながら、じっっくり噛みしめて読み進めています。



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Posted by kittsan at 09:00│Comments(2)本の事
この記事へのコメント
こんばんは、
私も読みましたよ~
まだ40代(でした)しかも女性で、
隠遁生活に特にあこがれてませんけど、
やっぱり何かの書評で知って、
何を思ったのか、読みました。
かなり面白かったです。
Posted by マルウチマルウチ at 2010年11月04日 18:43
Thanks マルウチさん。

そうでしたか。
こんな大作を読み切ってしまうなんて凄い!。

私も記事に刺激されて、読み始めたのはいいのですが、
当時の社会構造、風習などが分からず、
辞書やWikipediaでいちいち検証しています。

無事読み切れればいいのですが・・・。
マウルチさんの、「かなり面白かったです。」を励みに、
読破、頑張ります!。
Posted by kittsankittsan at 2010年11月06日 09:24
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