2008年12月15日

I'ts a free world/映画「この自由な世界で」

あの、my best movie「ブロークバックマウンテン」がなかったら、
たぶん映画「麦の穂をゆらす風」がそれに変わっていただろう。
そのケン・ローチ監督の新作「この自由な世界で」も素晴らしい作品でした。

Its a free world/映画「この自由な世界で」


派遣会社を解雇されたシングルマザー、アンジーは友人ローズと共同経営で、職業紹介所を立ち上げる。
東欧やイスラムからの移民を、安い賃金でロンドンの労働市場に送り込む。
一方、両親に預けている息子ジェイミーが気掛かりな彼女は、仕事が安定したら引き取ろうと思っている。
ビジネスは軌道に載るものの、賃金不払いのトラブルもあり、労働者から反感を受けることも。
彼女はさらにもうけを増やすために、違法であるパスポートのない不法労働者の斡旋に手を染めはじめる。
やがて、彼女の強引なやり方に友人は去り、
賃金不払いに怒る労働者が息子ジェイミーを誘拐する事件に発展していく・・・。

貧しい者がさらに貧しい者を搾取する、負の構造。
底辺から這い上がるためには、どんな汚れた手段も辞さない主人公。
「I'ts a free world」のタイトルが示す、自由社会の冷酷な現実が描かれています。

いつもながら、ケン・ローチ監督が描く人物の魅力的なこと。
人と社会を見つめる、厳しくも暖かいまなざしに、どんな悪人でも共感してしまう。
彼の映画の特徴である、口角泡を飛ばして、罵り、議論する場面が、何度も登場します。
だから、自然体の人々の熱気の中に、いつの間にか自分が入ってしまったような気になります。

Its a free world/映画「この自由な世界で」

徹底的に打ちのめされるアンジー。
それでも、再び彼女は東欧向かい、移民労働者に仕事の斡旋を始めます。
斡旋手数料を受け取り、お札を数える、主人公の般若のような顔と、
仕事にありついてホッとする、移民の中年婦人の笑顔。

深い感慨が胸に残るラストシーンです。

(画像はチラシ、パンフレットから借用しました。)


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Posted by kittsan at 09:06│Comments(0)映画の事
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