2011年03月03日

気になるコースター

JR静岡駅駿府楽市で、若い二人のクラフトマンの家具の展示を見てきました。
OさんとUさん。
Oさんとはたびたびお会いすることがあるのですが、
Uさんとは面識がありませんでした。

ただ、店の人に聞くと、静岡の若手職人のなかでも技術もセンスも人柄も
とても評判が良く、有望株だそうです。

彼の作った製品を見て、なるほどと納得できました。
一言で言うと、創意工夫があり、しなやかな感覚があふれる、やさしい家具です。
夫婦で仕事をしているそうで、奥様の主婦目線がかなり盛り込まれているようです。

気になるコースター

そんな彼が作った小物を買ってみました。
ローズウッドの「コースター」と「箸置き」。
とてもきれいに出来ていて、しかも安い。

その内のコースターに、ちょっとした遊びがありました。
濃紫のローズの板の端に、すーっと数ミリの白い「白太(しらた)」が入っている。

白太とは、木材の樹皮に近い周辺部の事で、
腐りやすく、虫が入りやすいので、取り除く場合が多いです。
しかし、この場合色のコントラストとして、わざわざ残してある。
もちろん彼には、赤味(木材の中心部)だけの、濃紫のコースターもあります。

白太の入ったコースターを買って、1日経ち、二日経ち。
どうもその白太が気になって仕方がありません。

伝統的な指物などの常識として、白太は取り除くもの、と教わってきました。
吉蔵が扱っている島桑材などは、当初は赤味も白太もほぼ同じ色なのですが、
赤味だけどんどんあめ色に濃くなっていくのに、白太は白いまま変わりません。
だから、数年も経つと白太の部分の色が抜けて、木が死んでいるように見えます。

木の皮に近い部分もそのままカタチに残したテーブルのトップ。
木の幹を輪切りにしたどっしりしたスツール。

そういう遊び心のあるデザインもいいと思います。
ただ、そこで必要とされるのが、見立て、識別眼、センス。
日本人は、そこに「粋」と「野暮」を判別する繊細な感性をもっている。

だから、本当はこういう事、恐いんです。
慎重にやらなければ、ならないのです。



同じカテゴリー(家具の事)の記事画像
三人三様のZUSHI KASHIKO(厨子カシコ)
しあわせな家具
今年のKAGUメッセの案内が出来てきましたよ。
前進する力/家具組合全体会議から
Couple Wining !! / MUZEUM・グッドデザイン静岡 大賞受賞
十人にはそれぞれ十の祈り方がある
同じカテゴリー(家具の事)の記事
 三人三様のZUSHI KASHIKO(厨子カシコ) (2014-11-20 09:08)
 しあわせな家具 (2013-08-01 09:01)
 今年のKAGUメッセの案内が出来てきましたよ。 (2013-05-02 09:11)
 前進する力/家具組合全体会議から (2013-02-08 14:02)
 Couple Wining !! / MUZEUM・グッドデザイン静岡 大賞受賞 (2012-10-30 09:45)
 十人にはそれぞれ十の祈り方がある (2012-10-02 09:18)

Posted by kittsan at 09:01│Comments(2)家具の事
この記事へのコメント
O氏のローズコースター、私も使用しております。白太のを買おうかどうしようかと思ったのですが、結局白太なしのものを購入。これが美しく和洋、アート様々なテイストに合い気に入って使ってます。で楽市で展示中の同氏の売約済みの曲がった一枚板のテーブルが有りましたが、まさに粋と野暮のバランスが絶妙と思っていましたが案の定、売約後も3人のお客さんから問い合せがあったとか。作り手の感性にシンパシーを覚える方が必ずや居ることを感じずにはいられません。問題はどうやってそういった方に辿り着けるかではないでしょうか。
Posted by ZUSHIカシオ at 2011年03月03日 23:51
thanks ZUSHIカシオさん。

さすがお目が高い。
たかがコースターなれど、いい物をお持ちですね。

さて、ご案内のくの字に曲がった一枚板の楓材テーブル。
実は、知人からそのテーブルがいいと聞いて、展示会を見に行きました。

私の感想としては、テーブルは「粋」
同じ材の他の部分をカタチにしたスツール(と聞きました)は野暮。

たとえば天童木工の「インパラ」のような椅子と
組み合わせた方がお洒落だと思いますが、いいかがでしょう?
Posted by kittsan at 2011年03月04日 08:34
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
気になるコースター
    コメント(2)